カトリックの国イタリアでは、1月6日はエピファニア(公現祭)という祝日。東方の三博士が星に導かれキリストの生誕を祝福しに訪問したことを記念する日です。ルネッサンス時代のフィレンツェでは、その聖書のエピソードに基づき、メディチ家の人々も参加する仮装行列を行なっていました。この伝統行事を模し、1997年より Cavalcata dei Magi(東方三博士の行列)と呼ばれる豪華絢爛な衣装を身に纏った700人ものが参加する仮装行列が開催されるようになりました。
(画像はWikipediaより) ルネッサンス時代の仮装行列の様子を伺うことができるのは、メディチ・リッカルディ宮殿にあるベノッツォ・ゴッツォリ作のフレスコ画。行列の衣装は、そのフレスコ画に描かれている衣装を参考に再現されているそうです。
ピッティ宮殿前で出発を待つ三博士。彼らの衣装、上のフレスコ画と比べてみるとかなり忠実に再現されているのではないでしょうか。行列は午後14時にピッティ宮殿を出発し、ヴェッキオ橋を渡り、シニョリーア広場を通ってドゥオーモ広場までゆっくりと練り歩きます。
フィレンツェの行事には欠かせない中世の装束の鼓笛隊と旗手団。シニョーリア広場で彼らと合流し、鼓笛隊の演奏に合わせてドゥオーモに向かいます。
イタリア人がこういう衣装を着ると本当に様になるんですよねぇ。まるで絵画から抜け出してきたようで、歴史的建築物を背景に彼らの姿を見ていると中世にタイムスリップした気分に。
歩き方も堂に入っていて、行列というよりファッションショーという言葉の方がぴったりくる感じです。以下、写真多めですが行列の様子をご覧ください。
行列に参加している人たちはどの人たちも様になっていたのですが、特に年配の方々からは貴族の威厳と風格がにじみ出てました。
この行事にはフィレンツェ市だけでなく、フィレンツェ県内の他の自治体も参加しています。フィレンツェの旗手団は男性だけですが、他の街には女性の旗手もいるんですね。
行列は騎士や貴族が大半ですが、中には野菜売りのおじさんなどがいたりも。
ロバや鷹など動物も参加。毎年少しずつ趣向も変わるようで、数年前にはラクダも登場したのだとか。さぞかし見ものだったのではないでしょうか。
この小さな男の子は役のためだったのかずっと寝たふりをしていて、見物客たちは “Che carino~!”(なんて可愛いの〜!)と皆思わず笑みを浮かべていました。
若い人たちの中で特に際立っていたのが、この女性とトップの写真の女性の二人。女優さん顔負けの美しさに、凛としていて気品が漂っていて、まるで本物のメディチ家の人物のようで目が釘付けに。新年から眼福にあずかりました。
以上の写真はシニョリーア広場で撮影したものですが、行列の終点はドゥオーモ広場。生きたプレセピオ(キリスト誕生のシーンを役者さんが再現した聖家族)に三博士が贈り物を献上して、2時間に渡る長いパレードは終わります。ドゥオーモ前は大変混雑するので、近くで見たい方はルートの途中でスタンバイしている方がよいかもしれません。
“L’epifania tutte le feste porta via”(エピファニアは祭りの締めくくり)という諺にもあるように、この仮装行列は、キリストの誕生を祝うクリスマスの最後の締めくくりにふさわしい煌びやかなイベントです。この時期にフィレンツェを訪れることがあれば是非ともご見物くださいね。