ものづくりと芸術が交わる街、フィレンツェ。この街を拠点とし、活躍している日本人の職人とアーティスト8名が揃う展示会「Japan in Florence Art」が、去る5月25日、Le Murate Idea Parkで開催されました。職種は、革職人、靴職人、画家、ヴァイオリン職人、ジュエリー作家、木象嵌細工職人と様々。Confartigianato Firenze(フィレンツェ職人協会) が主催した展示会でしたが、日本人のみの合同展示会は今回が初めての試みだったそうです。以下、展示会に出展された作家8名の方々をご紹介します。
阿部 純【弦楽器製作家】
秋田県角館町生まれ。大学卒業後、日本国内で約3年の修行の後1984年オーストリア、ザルツブルクのヴィオリン専門店に就職、主に修理を担当。1985年フィレンツェに活動拠点を移し、フィレンツェ在住の邦人製作家臼居滿政氏の指導の元に製作活動を続ける。1987年に独立し現在に至る。2000年よりイタリア弦楽器製作者協会会員、2017年よりコロンビアのSalvi財団の招聘を受け、ボゴタの弦楽器製作学校で講師を務める。
http://abejun-firenze.wixsite.com/liutaio
茅野 晶子 【日本画家】
東京生まれ。東京芸術大学絵画科日本画学部を卒業、1995年に西洋的美術概念を学ぶため、かねてから感銘を受けていたルネサンス発祥の地、イタリアのフィレンツェに渡る。フィレンツェアカデミア美術大学絵画科にて、2008年に修士を終了。日本画の顔料と古典技法を用いながら抽象画家として、日本、アメリカ、イタリア、ラトビア、中国、韓国と様々な国で展示、作家活動を行っている。
http://akikokayano.com
齊藤 美菜子 【皮革金装飾工芸士・バッグ職人】
京都市出身。平安女学院大学で服飾を専攻、在学中にバッグ製作に興味を持ち始める。卒業後アパレル販売員としてのキャリアを積み、2011年ハンドバッグの技術を習得するため渡伊。革バッグ職人訓練校Scuola del cuoioを経て、バッグメーカーに見習いとして入る。2014年、Bruscoli工房の4代目ブルスコリ・パオロ氏と出会い、装丁に使用される伝統技法である金装飾技術を学ぶ。2016年1月、パオロ氏よりBruscoli工房を引き継ぎ、バッグや革小物と金装飾を組み合わせた作品づくりを行っている。
http://www.bruscoli.jp/
道原 聡 【画家・造形作家】
広島市生まれ。京都市立芸術大学美術学部西洋画科卒業。同大学院壁画研究室終了。1986年イタリア政府給費留学生としてフィレンツェアカデミア美術学校に学び、1991年同校卒業。イタリア、ドイツ、日本の各地で企画展、個展開催多数。2018年NHK「おはよう日本」、TBS「世界ふしぎ発見」にインタビュー出演。フィレンツェ在住。2019年7月10日〜14日にチェルタルド市で開催されるインターナショナルフェスティバルMercantiaにおいて、同氏の絵が6x3mの垂れ幕になり屋外展示される。
www.satoshi-dobara.com
松岡祥子 【靴職人】
名古屋出身。高校の卒業旅行で訪れたイタリアで、丁寧に作られ、扱われている靴に感動。帰国後、専門学校で医療用の整形靴の製法を学び、再び渡伊。フィレンツェの製靴学校で基礎を学んだあと、オーダー靴の名店「Mannina」で靴職人カロジェロ・マンニーナの弟子として約10年ほど修業を積んだのち独立。2013年に自らの工房 La Calzolaia di Shoko Matsuokaををオープンし、紳士と婦人のオーダー靴を製作している。
https://www.instagram.com/lacalzolaia/
望月 貴文【木象嵌細工職人】Zouganista(ゾウガニスタ)
東京出身。大学卒業後、インテリア専門学校を経て家具メーカーに営業として就職。2007年に家具修復を学ぶために渡伊。家具修復職人/レナート・オリヴァストリ氏の元で修復技術と共に木象嵌を学ぶ。2014年にフィレンツェでは唯一の木象嵌細工専門の工房「Zouganista」をオープン。現在に至る。
http://www.zouganista.com/
森田 京子【手縫い革鞄職人】
米国シカゴ郊外生まれ、奈良県生駒市育ち。京都工芸繊維大学・大学院で製品デザインおよび空間デザインを学ぶ。IT関連、店舗内装等、日本と香港で多様な仕事を経験する。2013年秋にフィレンツェに渡り、翌年よりScuola del Cuoioで鞄作りを学ぶ。その後、鞄職人Dimitri Villoresiに師事。良質の鞄を、機械を一切使わず手縫いで製作し提供するという方法に共感する。2015年末にIL MERLO Bagsを立ち上げ、2018年フィレンツェ ・ポルタロマーナに工房兼店舗を開設。2019年フェデリギ通りに移転。デザインから縫製までを自身で行っている。
http://www.ilmerlobags.com
フォリア 吉田 真理 【ジュエリー作家】
横浜市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、赤坂宝石彫金学院に学ぶ。ジュエリー販売を経験ののち渡伊。フィレンツェのビーノ・ビーニ校及びペルセオ校で学びつつ、フォリア・ジュリアーノに師事。 2010年に“フィレンツェ・モードの若手職人10選”に選ばれる。2012年春、 夫・ジュリアーノと共にM.G.を創設。現在、同社の代表。
http://mari-y-foglia.com/
展示会のオープニングにお邪魔したのですが、作り手のこだわりや情熱が伝わってくる素晴らしい作品が並んでいました。また、ヴァイオリン奏者のGiovanni Porazzini氏によるミニコンサートもあり、阿部さんの作ったヴィオラが奏でる美しい音色に聴き惚れました。
フィレンツェ職人協会によると、現在、フィレンツェで活動する外国人の職人の数は300を超え、そのうち日本人の占める人数は結構な数にのぼるのだとか。フィレンツェで日本人の方々が工房やアトリエを構え、活躍されている姿は、同じ街に住む日本人として大変喜ばしく、また大きな励みとなりました。8人の職人・アーティストたちの作品や活動内容については、各々のリンク先のHPでご覧ください。彼らの今後の益々の活躍が楽しみですね。
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